「生花祭壇の現場を知る」レポート
「生花祭壇」とは、葬儀式で使われる生花を使用して作成られた祭壇のことです。
芸能人などの葬儀の映像などでよく目にすることがあるかと思います。
今回はその製作現場を ビューティ花壇さん の横浜支社で見学させていただきました。
普段目にすることが出来ないものなので、とても貴重な体験をさせていただきました。
※写真撮影はNGとのことでしたので、文字のみのレポートとなります。
【往訪先】:ビューティ花壇 横浜支社
【日時】:2010 年8 月27 日(金)
【内容】
- 業務概要の説明
- 製作現場、キーパーの見学
- 質疑応答
【現場の様子】
倉庫のような建物内で2つの大型祭壇といくつかの小型装飾アレンジが作成中でした。
祭壇は実際の高さに近い台の上にいくつかの吸水スポンジが乗ったプレートのようなものを組み合わせて作られていて、ひな壇状にならべられています。
運送をこのプレートで行ない、現場で決まった位置に配置することで、祭壇が出来上がるようになっています。(現場での微調整もあり)
幅が約6メートルくらいの作品は、まず白菊でデザインのアウトラインを作り、それに沿って色々な花が加えられていき、形が作り上げられていきます。
花の咲き具合や微妙な大きさの違いで遠近感、立体感が表現されていきます。
一つの祭壇を2〜3人のスタッフの方で作っているようだったのですが、驚いたのは指示書や図面のようなものは誰も見ていないのに、みるみると形が出来上がっていくのです!
【質疑応答メモ】
- 仕入れは現状殆どが市場から(アイタイ)であるが、海外の農家から直接輸入もある。
- ロス率は通年で1%以下。←過去の傾向から季節的な変動も鑑みて入荷量を調節するとともに、不足が発生した場合の入荷ネットワークを持っている(生花店などから)
- 基本的には葬儀社の下請けとして納品する。場合によっては直接受注もある。
- 取引先葬儀会社は全国7 拠点の合計で約500 社。
- 売り上げは6 尺サイズで5̃6万円程度。価格帯は大きいものでは数千万円クラスも。
- 大型の祭壇の制作ができるようになるには2〜3 年かかる。
- デザインはカタログ受注のものもあるが、お客様と打ち合わせをしてデザインを起す場合もある。その際デザインをするのは一部専任もいるが、実際には製作をする現場担当者が行なうことが殆ど。→ビューティー花壇さんとしてはこの部分に力をいれており、お客様の要望に全てこたえられるようにすることを目標としているとのこと。
<傾向・トレンドについて>
- 花材は従来キクなどの和物中心であったが、近年逆転して洋花の割合が高い(6:4 程度)。
- 社葬などの大型受注は減少、縮小傾向
- 個人の要望は多様化(本人による生前予約などもある)。
- 葬儀に関する価格設定などの仕組みが従来グレーな部分が多かったため、それをクリアにしていこうという動きが業界内にある。
【所感】
数メートルのサイズの作品が、数人の方で分担しながら、みるみる出来上がっていく様はまさに圧巻。
それぞれの社員の方が高い技術力を持っていて、さらに作業フローも効率的で無駄がない。
葬儀関連というと保守的・閉鎖的なイメージを抱きがちだが、まったくそんなことはなく、むしろお客様への要望に応え、提案していこうというアグレッシブな姿勢がかなり感じられた。
葬儀という時間の限られた案件を扱うということで、色々な要素がむだなく凝縮されていて、かなりやりがいのある仕事なのではないか、というのが率直な感想でした。