多肉植物

「多肉」という生きかた

乾燥した厳しい環境で生き残れるように、独特の形状に「進化」した植物。


葉が厚く丸くなるのは体内に水分を蓄えるため。
茎や葉の表面がつるつるしているのは、水分の蒸発を防ぐため。
細い毛が生えてふわふわしているのは、霧や夜露を吸収するため。

厳しい環境=競争相手がいない(少ない)ということ。


ちなみに、「多肉植物」というのは形態による呼び方であって、定義する科や属は存在しない。
植物分類的には50以上の様々な科(サボテン科、ベンケイソウ科、トウダイグサ科、ガガイモ科、ツルナ科ユリ科、キク科、キョウチクトウ科…等)に分布。

それらが乾燥した環境で生きるために「平行進化」(異なる場所で同様の環境への順応)をして多肉植物となった。
日本でも、暖かい地方の海岸や、川べりの土手、古いかやぶき屋根の斜面などで自生するものがみられるとのこと。


サボテンとの違い?

サボテンも多肉植物に含まれるひとつの科。
園芸業界では、分類学上「サボテン科」に属するものを「サボテン」、それ以外を「多肉植物」と呼ぶというきまり。
分類がサボテン科以外の多肉植物を「サボテン」と呼んではいけないということ。

育てる環境・・・水はけと通気性!

土の理想条件は一般の草花同様、水はけと通気性、保水性の良いものを。
配合する土の種類が多いとバランスがよい。

コントロールして育てる

多肉植物は適応能力が高い植物。
水や肥料の量を調節することで、コンパクトに仕立てたり、大きくしたりと草姿をコントロールすることが出来る。
コンパクトにする場合は、より排水性の高い土を使い、水や肥料を減らす。

水やり・・・あげるときはたっぷりと、あげないときはきっぱりあげない

一般に手がかからず育てやすいといわれるが、失敗するケースも・・その2大原因が「水のやりすぎ」と「日照不足」。

もともとが乾燥した環境にいて体内にたっぷり水分を含んでいるので、頻繁な水やりは不要。
(とはいえ全く不要というわけではないが。)

鉢の土が完全に乾いたら水をあげる。他の植物同様、水をやる場合には鉢の底から水が出るまでたっぷりと。

特に重要なのは、土が完全に乾く前に水をやってはいけないということ!すぐに水をあげなくても全く問題はなく、少し忘れるくらいでちょうどいい。

とにかく日当たり

まず重要なのは日当たりの良い場所におくこと。
できるだけ長時間日光が当たる場所が望ましい。ただし、真夏の直射日光はNG。
また、急激に強い日差しに当てると葉やけをおこしてしまう。(日光だけでなく、気温や水分についても急激な変化はNG)


植え替えは「乾かす」のがポイント

通常植物の植え替えでは、直後には水をたっぷり与えるが、多肉の場合これはNG。
植え替える苗も植え替え数日前にあらかじめ土を落とし、根を乾かしておく。根に湿り気があると菌の発生を招きやすいため。
植え替え後も最低一週間は水を与えずそのまま放置。

多肉植物を「ふやす」

株分けや挿し葉がしやすいのも多肉植物の特徴の一つ。
ただし、これもまた他の植物の場合と異なる重要なポイントが、「挿し穂を乾かす」ということ。
成長点の節を残すパターンと、葉の一部から新芽が出るパターンもあり、種によってさまざま。
多肉に限らず、「挿し」ものは、前提として必ずしも成功するものではない。そのつもりで「ほっぽらかし」がいちばん角度が高そうではある。。


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いささかブームは過ぎたものの、いわずと知れた人気の多肉。
検索してみると一目瞭然なことに、他の園芸関連の事項に比べて、多肉植物が好きなひと、詳しい人はゴマンといる。。
植物に関するビジネス、趣味の中でも、雑貨やファッション的な要素が強いジャンルだと思う。


「過酷な環境」に絶えるべく進化した植物が、「過酷な環境」に生きるヒトには共に生きやすいのかもしれない。