盆栽の植え込み


実際に盆栽を植えてみる!

基本的な流れや注意点は園芸植物一般のそれと近いが、ちょっと違うところ、同じとはいかないところもアリ。

苔球やミニ盆栽のブームはあったものの、やはり盆栽は年齢層の高い一部のマニアの趣味という色が強く、ハウツーがあまり出回っていない、もしくは細かすぎてとっつきづらい。


華道同様、極限まで「切り詰め」て追求する美の表現スタイル。


それなりの作法と姿勢が求められるが、その分一連の作業を通じて得られるものがある、ように感じる。




以下授業で指導いただいた手順。


土づくり

基本のブレンドは、【赤玉土9:桐生砂1】
松柏であれば、【赤玉土7:桐生砂3】
だが、個々の植物や環境、好みによって調整する。
表面を覆う化粧砂(マルチング)として富士砂、元肥として緩行性の肥料を適量用意。

鉢を選ぶ

植物と鉢とのバランスは「鉢合わせ」、「鉢映り」等といわれ、盆栽では最も重要な要素のひとつ。
鉢だけを収集するマニアもいるほど種類も質も様々ある。
縁を指で弾いて鈍った音がするものは、ひびが入っているので注意。
鉢底に針金を通すための穴が空いているのがきちんとした盆栽用の鉢。

植物の正面を見つける!


こちらも難しくて重要なポイント。
盆栽での「正面」は植物の幹筋が美しく見える側。観葉植物やその他の園芸での「顔の向き」とは異なる。
葉の向きは意識しない。なぜなら太陽光線の影響で変化していくものだから。
枝の流れの全体が美しく見え、幹がこちらに向かって「お辞儀をしてきている」側を選ぶ。

鉢の正面、植え付け位置、角度を決める

盆栽が表現する「自然風景」に左右対称はあり得ない。
左右どちらかに重心があり、反対方向に向かって勢い(エネルギー)を発してる。
植物の発する勢いを読み取り、鉢との調和で表現する。
具体的には、重心のある方を鉢の片方に寄せ、反対側に空間を取る。

植え付け前の準備〜植物の根を乾かさないように、先にやっておくこと


土や道具を揃え、鉢穴にネットを取り付ける(針金で固定する)。
必要に応じて植物を固定するための針金を鉢底から通しておく。(植物と鉢を固定することで、植え付けがしやすいのと、根が

安定して活着がしやすいという効果がある。)

根ほぐし〜盆栽ではかなり重要なポイント


古い鉢から取り出し、根をほぐす。
根は1/3を目安に切り取る。適度に切ったほうが植物が活性化する。但し休眠前の時期は新しい根が育ちにくいので避けた方が

良い。

いよいよ植え付け

土は三段階に分けて入れる。
まず鉢底の中心部に土を盛る。その上に植物を乗せて針金で固定する。

次に根と鉢の間に土を入れ、隙間ができないように竹串等で土をつめていく。途中で鉢の側面を叩いてさらに詰める。
きっちりと土が詰まったら、緩行性肥料を置き、最後に化粧砂で表面に平らに仕上げる。

水かけ〜最後の仕上げ


弱く波打たせながら全体的に移動させてかける。一箇所に集中させると土が踊ったり浮いたりして流れてしまうので注意。
鉢底から出る水が濁りなく澄んでくるまで掛け続ける。これは土のなかの微塵を洗い流すため。
この鉢の場合鉢土が浅いので、最初の水やりは水を張った桶にゆっくりと浸して土を落ち着かせ、その後水を掛ける。

【植え替え後の管理】置き場所

盆栽は土の分量が少なく、保てる水分が少ないので、水を切らせないことが大切。
風に当りすぎると水分が失われてしまうので、強い風にあたらないよう注意が必要。
日光は鉢を温め、根の活動を促すのでプラス要因。但し、25℃を超えると根は成長できない。真夏の直射日光は避ける。

【植え替え後の管理】水かけ

一日一回以上はかけない。乾かない程度に保つことが重要。
水をやりすぎると酸素不足(土が湿ったままだと通気性が悪くなる)や低温のため、根の活動が鈍り活着が遅れてしまう。



完成作品

植物はウメ(Prunus mume バラ科)の「思いのまま」という品種。品種名は一本の木に白梅と紅梅が混在して咲くことから。
今回は根元の幹のうねりをメインに配置。元の鉢より小さく浅いものへの植え替え。