正月花

お正月の由縁

正月は、「年神」さまを家に招き入れる行事として行なう。
「年神」は神道でいう「八百万(やおよろず)の神々」のひとり。
家の外には『門松』、中には『正月花』を供える。

門松に松が使われるのは、「常盤木(ときわぎ)」=常緑樹であることから、絶えることが無い、永遠などを表すとされている。

神様にささげるものを「供物(くもつ)」と呼ぶ。
伝統的な年中行事を行う日が「節句」というが、これは「節供」から転じたものらしい。
正月の代名詞ともなっている「おせち」のい語源は「御節」で。もとは節日(せちにち)ともよばれる暦上の節目につくられる料理だったが、正月のものだけが一般的に伝わっている。

<五節供
もともとは中国大陸から伝わった暦上の節目。中国では「陽数」といって奇数が縁起が良いとされ、それが重なる日が節目とされている。

  • 正月 1月1日 ※
  • 上巳(じょうし/じょうみ) 3月3日
  • 端午(たんご) 5月5日
  • 七夕(しちせき/たなばた) 7月7日
  • 重陽(ちょうよう) 9月9日

※日本では徳川の時代から「人日(じんじつ)」の1月7日を節供とするようになった。

様式 正月花

「様式」は活け方が定められた型のこと。

【器】

小判水盤七宝

【花材】

主枝:日本水仙、立日陰(たちひかげ)

客枝:小菊、枯松葉、ヤブコウジ

千両万両有り通し

お正月の植物として有名な「センリョウ」「マンリョウ」は、花や実の少ない冬の季節に赤い実を豊かにつける貴重なもの、その価値は千・万両金に値するという語源から。

万両〜一両までの別名を持つ植物がある。

一両の「アリドオシ」は葉に鋭い棘があり、「蟻も刺し通す」という意味と、実が翌年まで持つので「ありどほし」という説がある。
千両、万両と並べることで、「千両万両有り通し」としておめでたい取り合わせとされる。

※センリョウとマンリョウの見分け方は、実の成る位置。葉の上になる方が千両で、千両よりも重い万両は葉の下に成る。

日本水仙


ヒガンバナ科(Narcissus tazetta var. chinensis)。地中海沿岸地域やヒマラヤが原産。
「雪中花」別名の別名もあり、独特の甘い香りがする。
中国での呼び名「水仙」を音読みにしたもので、水辺で咲く姿を仙人にたとえたといわれ、花の形状が銀の台座に金の杯がある姿に例えられ、おめでたい植物とされる。

水仙は必ず「はかま」の部分を見えるようにしていける。
花と葉を一度全て分けて、形を作り再び一枝に纏めてつかう。

敷松葉


冬の霜から苔を守るために庭園に敷く松葉(落ち葉を乾燥させたものを蒸して使う)。
そのことから、いけばなでは冬の景色を演出する花材として使われる。(単体で全面に用いることはなく、かならず立日陰とともに部分的に使う)